可換体
ある可換環Rについて、零元以外のすべての元について、乗法についての逆元をもつとしましょう。例えば、整数集合は環ですが、元3について、逆元1/3は整数ではないので、この条件を満たしません。
比較的、この条件は厳しいものです。この条件を満たす可換環を、可換体とよぶことにしましょう。
非可換体、体、斜体
非可換環Rが上記の条件を満たすとき、非可換体とよぶことにしましょう。
なお、可換体と非可換体を総合して、体とよんでもよいことにしましょう。
また、毎回可換と書くのは面倒なので、可換体を、単純に体とよぶことも、許すことにしましょう。
なお、可換体と非可換体を総合して、斜体とよぶ流派も許容することにしましょう。
単元(可逆元)を含むイデアルの性質
可換環Rのイデアルが単元(乗法における可逆元)(整数でいえば1)を含むとき、イデアルの性質から、可換環Rの任意の元と、イデアルの元である単元の積が、やはりイデアルの元になっているわけですから、それは、
まさに可換環Rの任意の元そのものであることは、容易に想像できるでしょう。
ということで、単元(乗法における可逆元)を含むイデアルは、可換環Rそのものとなります。
体Rに対してのイデアル
可換環Rが可換体であるとき、そのイデアルが元aを含むとしましょう。
元aは当然可換体Rの元でもあります。
可換体というのは乗法における逆元を零元以外において必ずもっているので、1/aも可換体Rの元になっています。
イデアルの性質から、1/aと、イデアルの元aの積も、やはりイデアルの元になります。すなわち、単元1がイデアルの元となっています。上記の通り、そのようなイデアルは、可換体Rそのものです。
ということで、可換体Rのイデアルは、可換体Rそのものです。
(ただし、自明なイデアルとして、零元のみを含むものをイデアルとしてカウントするなら、可換体Rが零元をもっていることはすでにわかっているので、{0}もイデアルとなります。)