導関数の和
(f(X)+g(X))’=f(X)’+g(X)’です。
確認します。まず、定義されているほうから計算します。
定義から、f(X)’+g(X)’は、f(X+h)のhの1次の係数f1(X)と、
g(X+h)のhの1次の係数g1(X)の和です。
ここで、f(X+h)+g(X+h)をhについてまとめると、
(f(X)+g(X))+(f1(X)+g1(X))h+(f2(X)+g2(X))h^2+…+となります。
ここで、hの1次の係数は(f1(X)+g1(X))ですから、確かに、
f(X)’+g(X)’と一致します。
単純に、明らかなときは、Xを省略しても良いこととして、
(f+g)’=f’+g’と書いても良いことにしましょう。
導関数の積
では、f’g+fg’とは、
f(X+h)のhの1次の係数とg(X)の積と、
f(X)と、g(X+h)のhの1次の係数の積との和です。
hの0次であるf(X)はf0(X)そのものです(hの考え方を導入していないので0次です)。g0(X)も同様です。
よって、f1(X)*g0(X)+f0(X)*g1(X)とかけます。
ここで、(fg)’を考えます。
導関数の定義から、f(X+h)g(X+h)についてのhの1次の係数ですので、
(f0(X)+f1(X)h+f2(X)h^2+…)*(g0(X)+g1(X)h+g2(X)h^2+…)となります。
hの1次の係数だけわかればよいので、
h(f0(X)*g1(X)+f1(X)*g0(X))となっています。
結局、(fg)’=f’g+fg’となります。
微分の積(3つ以上)
さて、関数f(X)をfと省略してよいこととして、関数e、f、gについて、
(efg)’はどうなるでしょうか。
定義から、e(X+h)f(X+h)g(X+h)のhの1次の係数です。
さて、e(X+h)、f(X+h)、g(X+h)の順に、hの何次の項を選んできて、積をとればいいかを考えれば、明らかに、
順番に「0,0,1」「0,1,0」「1,0,0」の3通りしかなく、
h(e0(X)f0(X)g1(X)+e0(X)f1(X)g0(X)+e1(X)f0(X)g0(X))となります。
これは、e=e0(X)、f=f0(X)、g’=g1(X)などとなるから、
efg’+ef’g+e’fgであるとわかります。
同じようにすれば、関数a,b,c,dについて、
(abcd)’=abcd’+abc’d+ab’cd+a’bcdとなります。
べき乗の導関数
f(X)=X^2であるなら、
f'(X)はf(X+h)の、hについて一次である項の係数なので、
計算して、f'(X)=2Xとなります。
では、f(X)=X^3なら、同じく計算して、
f'(X)=3Xとなっています。
実は、fn(X)=X^nとあらわせるとき、当然
f1(X)=X、fn-1(X)=X^(n-1)であって、
fn(X)=f1(X)fn-1(X)となるので、
(fg)’=fg’+f’gの公式から、
fn‘=f1fn-1‘+f1‘fn-1=X*fn-1‘+fn-1
上の例からもわかりますが、f0=1, f0’=0, f1=X, f1’=1となって、
n=2を代入すると、(定義から、f2=X^2です)
f2’=Xf1’+f1となっていて、f2’=X+X=2Xで、
n=3を代入すると、
f3’=Xf2’+f2となっていて、f3’=X*2X+X^2=3X^2です。
証明は数学的帰納法で可能ですが、一般に、
f(X)=X^nのとき、f'(X)=nX^(n-1)となっています。
定数倍の微分
また、確認すればわかりますが、一般に、定数(Xについて0次)kがあって、
(k*f(X))’=k*f(X)’となっています。