自然数
0,1,2,3,4…を自然数と呼びます。
自然数全体の集合をℕと表すこととします。
ℕ={0,1,2,3…}
集合と元
詳しくは別記しますが、
いちいち「自然数全体の」などと書くのはめんどくさいので、
ℕと書けば、自然数全体の集合を表すことにしています。
集合とは、その名の通り、いろいろなものが集まったものです。
3年B組が3人しかいないクラスで、田中君、佐藤さん、山田君がいたとして、3年B組={田中君、佐藤さん、山田君}という書き方になるわけです。
ちなみに、それぞれの人を「元」といいます。田中君も元、佐藤さんも元、山田君も元です。
もちろん、自然数全体は書ききれないので、「・・・」と表します。
ちなみに、自然数はNatural numberなので、頭文字からℕと表現します。
単純にNと書いてしまうと、他の記号と混乱してしまうので、
集合を表すときは、二重線で示すことが多いようです。
整数
さて、0でない自然数の集合を正の整数と定義します。
整数は英語ではwhole number(直訳:数全体)なのですが、
ドイツ語ではGanze Zahlといい、その頭文字からℤを整数全体の集合に使います。
正の整数集合は、ℤ+と表現することにします。当然、{1,2,3…}となります。
負の整数集合は、ℤ–と表現することにします。{…-3,-2,-1}となります。
「整数集合」
整数集合ℤは、これらに0を追加したものになるので、
ℤ={…-3.-2.-1.0.1.2.3…}となる。
なお、nを正の整数(0以外の自然数)として、-nとは、nとの和が0になるようなものをいうこととし、負の整数と表現することにする。
想E見E応E
これで、こころおきなく減算をすることができます(自然数では、大きい数から小さい数を減算することしかできませんでした)。
加法群
「加法群」
集合Gの任意の2つの元a,bを考える。
加法(いわゆる加算のこと)a+bが定義できて、
その和が集合Gに含まれるとき、
以下の4つの性質を満たせば、集合Gを「加法群」と定義することとする。
性質1:結合律
任意の3元a,b,cについて (a+b)+c=a+(b+c)
性質2:零元(ぜろげん)の存在
任意の元aについて、a+0=0+a=aとなるような「0」が元として存在する
性質3:逆元の存在
任意の元aについて、a+(-a)=(-a)+a=0となるような元-aが存在する。
性質4:可換律
任意の元a,bについて、a+b=b+a
想D見D応D
乗法群
「乗法群」
上に示した性質と類似したものが、乗法(いわゆる乗算)について成り立つ場合、その集合Gは乗法群とよぶこととする。
任意の3元a,b,cについて
性質1:結合律
(ab)c=a(bc)
性質2:単位元(零元ではない)の存在
a*1=1*a=aとなる1が元として存在する(乗法では1を単位元とよぶことにします)
性質3:逆元の存在
a*k=k*a=1(単位元)となるようなkが元として存在する(積が単位元になる元を逆元とよぶことにします。
性質4:可換律
a*b=b*a
じつは、乗法群の条件は、加法群に比べて、なかなかに厳しいものです。
可換乗法群
「可換乗法群」
集合Gが、加法群であり、かつ乗法群であれば、その集合Gは可換乗法群とよぶこととする。わざわざ可換をつけるのは、乗法で可換律を成立させるのは、わりと難しい条件であるからである。また、「加法」の文字が消えているので、実際には「可換加法可換乗法群」と書いても良いのかもしれない。
非可換乗法群
「非可換乗法群」
集合Gが、加法群であり、乗法について可換律以外の3性質を満たす場合、その集合Gは、非可換乗法群とよぶことにする。やはり、加法についても書くなら、可換加法非可換乗法群とよんでも良いかもしれない。
非可換乗法群という名前は長いので、単純に、群でも良いことにします。
想C見C応D
環
さて、集合Gが、乗法について、
結合律、単位元、逆元、可換律を満たせば、「乗法群」でした。
もし集合Gが加法群でもあれば、可換加法可換乗法群、省略して、可換群とよぶことにしました。
さて、集合Rが加法群であって、乗法について、
結合律、単位元、可換律の3つのみ満たしており、
かつ、分配律(任意の元a,b,cについてa(b+c)=ab+acが成立する)
を満たしている場合の集合Rの呼び方を考えます。
この場合、集合Rを、可換加法可換乗法(逆元不存在・分配律成立)群、とよぶこともできます。
しかし、ここは、「群」という言葉をやめて、可換加法可換乗法(ただし、逆元不存在・分配律成立)群のことを、単純に、可換環とよぶことにします。
想C見D応D
非可換環
整数は乗法群ではないが、可換環である
整数は、乗法について、結合律と単位元1の存在と可換律が成立する。
しかし、乗法の逆元を、1と-1以外もたないので、乗法群ではない。
整数は、可換加法可換乗法(ただし、逆元不存在、分配律成立)群である。ゆえに、整数は可換環である。
零因子
可換環Rの元aが、0でない元bをかけることで0になるとき、aを零因子とよぶ。
aは0しかありえないという感覚は間違いではないですが、例えば、「行列」の世界では、0でないものどうしを掛け算して0になることがあります。
そこで、0以外に零因子をもたない可換環と、
0以外に零因子をもつ可換環を区別することにします。
整域
順序環
たとえば、a≦b≦cなどです。正確には、c-bが0か正であればb≦cが成り立つものとします。
複素数の3iと5iなどは、5i-3i=2iであって、2iは虚数なので、そもそも0でも正でもありませんから、順序という考え方は複素数においては成立しません。