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最小のイデアルとは

数学
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最小のイデアル

可換環Rの有限個の元a1,a2,…an(もちろん、全て異なる元です。また、これらはRの元を網羅しているとは限りません。)

に対して、a1,a2,…anを含むイデアルを考えましょう。

「含む」わけですから、a1,a2,…anおよびan+1

を含むイデアルも、「a1,a2,…anを含むイデアル」の一部です。

イデアルの定義を思い出せば、イデアルの任意の元の和は、やはりイデアルの元になっていること、イデアルの任意の元に可換環Rのどの元を掛けても、その積がイデアルの元になっていることです。

また、イデアルが可換環Rの部分集合であることから、イデアルの任意の元の差も、やはりイデアルの元になっています。

さて、「a1,a2,…anを含むイデアル」の他の元を考えます。

a1+a2や、a5+an、a2-a4など、これらの任意の2つの元の和と差はイデアルの元です。さらに、a1+a2がイデアルの元なのだから、a1+a2と、a5+anの和と差もやはりイデアルの元です。

ということは、a1~anを使ったあらゆる和と差のパターンがイデアルの元になっています。

さらに、可換環Rの任意の元r(r1,r2,…rk)について、rとイデアルの元の積は、やはりイデアルの元だというのがイデアルの定義でした。kは、可換環Rが例えば整数であることを想像すればわかりますが、無限大といっても良いでしょう。

ゆえに、r1a1や、r2a1や、r14a1、r5a9など、いずれもイデアルの元になっています。

ということは、a1~anのいずれかにr1~rkのいずれかを何回かかけたものもイデアルの元で、そういったものの和と差のあらゆるパターンがイデアルの元になっています。

「a1,a2,…anを含むイデアル」とは、少なくとも上記の元を含むイデアルであって、示したものは、最小のイデアルです。

なぜなら、「a1,a2,…an,an+1を含むイデアル」は、もちろん「a1,a2,…anを含むイデアル」でもあるし、他にも様々な元をもつわけですが、自明なことに、上記の最小のイデアルよりも元の数は多いわけです。

こういった考え方を最小のイデアル(a1,a2,…,an)と表すことにしましょう。

イデアルがもつ元は、例えば、(a1r1+a1r5)*r20+(a4r2+a8r3)*r3*r2*r50などの一見複雑な何でもありの形に見えますが、実は、ルール上、例えば、a1*a2がイデアルの元かどうかはわかりません。なぜなら、元どうしの和と差や、あるいはr1~rkと元との積はイデアルですし、それらどうしの和と差はやはりイデアルなのですが、a1*a4とか、a5*a10だとかがイデアルの元である必要性はありません。

ただ、結果的に、r5a1=a2a3などと同じ値をとる可能性はあります。

とはいえ、たまたま同じ値をとるかどうかに関わらず、イデアルの元は、r1~rkどうしの和と差と積で作られる値の集合≔R和差積のいずれかの元をf(r)とおけば、

a1*f(r)+a2*f(r)+…an*f(r)の形で必ず表されることがわかると思います。(それぞれの係数f(r)は0とか、同じものとか、異なるもののこともあります)

上の例:(a1r1+a1r5)*r20+(a4r2+a8r3)*r3*r2*r50も、結局はこの形になっています。ということで、

可換環Rの有限個の元a1,a2,…anに対して、これらを含む最小のイデアルは(a1,a2,…an)と表すこととし、その元は、必ず、

a1*f(r)+a2*f(r)+…an*f(r) | 「f(r)は可換環Rのいずれか(1つ~無限個)の元の和と差と積によって作られる値で、各々の係数は違う値をとりうる」

という形で示せることがわかります。