有理数体における方程式の整数解
有理数体ℚにおいて、
整係数の一元n次の不定方程式(整数解を求める方程式)について、
kiを整数、Xをℚの元(ゆえに、必ずしも整数ではない)として、
kn*X^n+…+k2*X^2+k1*X^1+k0=0の整数解Aを考えます。
そのようなAが存在するかどうかはわかりません(無いかもしれない)が、
あったとして、
kn*A^n+…+k2*A^2+k1*A^1+k0=0
変形すると、Aでくくって、A(kn*A^(n-1)+…+k2*A^1+k1)=-k0
従って、マーカー部をBとすれば、kiもAも整数なのでBは整数であり、
-AB=k0となります。
ゆえに、Aは必ず、k0の約数でなければなりません。
さて、具体的に、3X+1=0については、k0の約数±1は等式を満たさないので、もちろん整数解は存在しません。
ゆえに、Aは必ず、k0の約数でなければなりませんが、k0の約数だからといって、整数解となるわけではありません。
このことを利用すれば、一元n次不定方程式について、整数解の有無とその値を楽に求めることができます。
有理数体における整係数一元代数(不定ではありません)方程式の有理解(有理数の解ということです。なお、有理数は当然、整数も含みます)
上記と同じく、kおよびnを整数として、整係数の一元n次不定方程式
knX^n+…+k2X^2+k1X+k0=0
について、有理解Qを求める場合は、一元n次代数方程式と名称が変わり(整数解を求める場合、必ずしも解が存在しないので、「不定」方程式といいます。ただ、極端に言えば、X^2=-1については、実数解が存在しないので、これも不定方程式といっても良さそうです。複素数解を認めるならば、あらゆる方程式は、シンプルに代数方程式と呼べそうです)、
有理解Q(互いに素な整数を用いてr/sとおける)が存在するとして、
knQ^n+…+k2Q^2+k1Q+k0=0
両辺にs^nをかけて、
kn*r^n+kn-1*r^(n-1)*s+…+k2*r^2*s^(n-2)+k1*r*s^(n-1)+k0*s^n=0となります。
kn*r^n=-s{(kn-1)*r^(n-1)+…+k2*r^2*s^(n-3)+k1*r*s^(n-2)+k0*s^(n-1)}
と変形できます。右辺はsの倍数なので、左辺kn*r^nもsの倍数です。
rとsは互いに素なので、knはsの倍数です。
さて、kn*r^n+kn-1*r^(n-1)*s+…+k2*r^2*s^(n-2)+k1*r*s^(n-1)=-k0*s^nとも変形出来て、
左辺は全てrの倍数です。ゆえに右辺もrの倍数です。
rとsは互いに素なので、k0がrの倍数です。
従って、整係数一元代数方程式が有理数解r/sをもつとき、
最高次の係数knはsの倍数であり、定数項k0はrの倍数です。