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極限と導関数

数学
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極限の考え方と導関数

一般に、f(X)=a0X^0+a1X^1+a2X^2+…とかけて、

f(X+h) = f0(X) + f1(X)h + f2(X)h2 + ⋯ + fn(X)hnと変形できます。

このとき、hの1次の係数f1(X)がf(X)の導関数である、と定義しました。

もちろんこれは正しいのですが、さらに変形すると0でないhで割って(「体」では除法OKです)、

{f(X+h)-f0(X)}/h=f1(X)+f2(X)h+f3(X)h2+…

となって、極限の考え方を持ち込むと、h→0すなわち、hが0に極限までちかづく(がしかし、分母なので0そのものにはならない)と、右辺は限りなくf1(X)と等しくなります。

これを、「等しいとして扱って良い」と定義するのが、「極限」の考え方です。ですので、直接的にf1(X)が求まらないケースであっても、{f(X+h)-f0(X)}/hにおいてhを極限まで0に近づけた値は、f1(X)と等しい(本当は等しくないが、そう定義できるのが極限の考え方です)ことになります。

極限を使うと、実際のところ、結局は「つじつまが合う」計算式を手に入れられます。

直感的な話でいえば、極限を求める段階では、数学的には公理や真実をわずかながらゆがめているが、その値を用いていろいろと計算してみると、その結果は、正しいものになっている、という感覚です。

この感覚は、例えば、数学的に存在しないはずの(というと誤解があるかもしれません。厳密には、現実世界には存在しないはずの)虚数という概念をもちこんで、いったん、公理をゆがめてしまうが、その値を用いた計算結果は、現実世界のものに戻ってきており、数学的にも正しいという感覚です。

数学は、定義してしまえば、何でもありな分野です。極端に言えば、1+1=3でも良いわけです。ただ、そう決めるからには、多くのルールを作成して、論理に破綻が無いようにしなければなりません。その成功例の一つが、√-1です。ただ、原則となっている公理をゆがめている場合、そのことを認識しながら議論しなければなりません。

さて、別記事の、分数関数の微分の話ですが、極限を使うと、

(f/g)’=[lim h→0] {f(X+h)/g(X+h)-f(X)/g(X)} / h

と書けて、計算すると、分子は{f(X+h)g(X)-f(X)g(X+h)} / g(X)g(X+h)

となって、ここで思いつきにくい工夫ですが、分子を

{f(X+h)g(X)-f(X)g(X)+f(X)g(X)-f(X)g(X+h)} / g(X)g(X+h)と変形できて、

さらに変形して、{f(X+h)g(X)-f(X)g(X)} / g(X)g(X+h) +

{f(X)g(X)-f(X)g(X+h)} / g(X)g(X+h)となります。

これの、さらにこの分子Aは、{f(X+h)-f(X)}g(X)-f(X){g(X+h)-g(X)}と変形できて、もともとの導関数は

A/g(X)g(X+h) / hであって、

A/{h*g(X)g(X+h)}すなわちA/h * {1/g(X)g(X+h)}  と変形できるから、

[lim h→0] のとき、A/h→f’g-fg’となっていることが確認できると思います。

[lim h→0]{1/g(X)g(X+h)}→g(X)g(X)となっています。

このように、分けて考えていいのは、hで約分しきってからです。

たとえば、h^2/hがあったとして、 [lim h→0]はいくらかという話で、

確かにh^2→0でh→0ですが、そもそも極限というのは、数学的ルールを少し無視した強引な方法なので、決まり事を守らないと、0/0というよくわからない状況になります。

正解は、まずは約分してh/1としてから、[lim h→0]として、0/1=0ということになります。

上記のg(X+h)については、もしこれがhとか3hとかXhとかなら、約分がまだできていないことになりかねませんが、X+hの形であれば、横に相対的に巨大なXがくっついていますので、もう約分しなくて構いません。

極限を求めるときは、かならず項を、元の積として捉え、それが適当な元aを使ってa*hとおけるときは約分に注意し、もしa+hの元であれば、aが相対的に巨大なものとなるので、約分しなくて良いことになります。

例えば、(a+h)^2/(a+h)[lim h→0]については、

約分すれば(a+h)[lim h→0]すなわちaとなるわけですが、

約分しなくても、分子→a^2、分母→a、分数→aとなって、結果は同じことです。

この傾向は、(b+h)^2/(a+h)[lim h→0]でも、結局同じで、分母と分子を別々に極限をとって問題ないわけです。