円周率π≒3.14と習ったものの
円周率とはそもそも何だったのか、いまひとつピンとこないままきた方も
多いと思います。
もちろん、直径2の円の円周が2πとなるような数がπなわけですが、
それが3.14くらいだ、というのも、厳密な数学にしてはアバウトな教え方をするな、と感じた方も多いのではないでしょうか。
曲線の長さ?
曲線の長さというのが、そもそも気持ちが悪いのであって、
たとえば、少し太めのヒモを円状に巻き付けたとき、
内側のラインと外側のラインは微妙に(微妙に、ですが)長さが異なることは、
おわかりかと思います。
ドーナツの外側の方が、内側のラインより長いのと同じです。
ですので、この曲線というのは、鉛筆やシャーペンで書いたとき、どれだけ細く書いても、微妙な太さがあります。
その太さは、限りなくゼロに近くなければ、長さを正確に測れないことになります。
また、現実世界に存在するきれいな曲線というのは、顕微鏡で拡大してみれば、
ごくごく小さいギザギザというか、直線の集まりになっています。
ですので、理想的な完璧な曲線というのは、どうにも想像しにくいものです。
こういった、「曲がったものの長さを測る」という行為が、話をややこしくしています。
結論から言えば、πの正確な値の求め方は、何通りもあって(円というのはいろいろな応用が効いて、いたるところにπが現れるため)、
最もわかりやすい計算式(正確性には欠くという指摘もあるが)の一つは、
\(\displaystyle \frac{\pi}{4}=1-\frac{1}{3}+\frac{1}{5}-\frac{1}{7}+\cdots\)
です。
これが正しいことの証明は、比較的簡単かもしれませんが、
三角関数の知識と、数列および極限の知識と、微積分の知識が必要です。
直感的に、3.14とはいわないまでも、3よりは大きく4よりは小さいことを
だいたい確かめたいのであれば、
内枠より外枠の方が長いわけですから、
\(2*4>2*\pi>3\sqrt3 or 4\sqrt2\)となることがわかります。(実際は\(3\sqrt3< 4\sqrt2\)なので\(2*4>2*\pi>4\sqrt2\)です。)
結局、\(4>\pi>2\sqrt2≒2.82\)ということは間違いないようです。
ここで、東京大学の有名な入試問題に、「π>3.05を証明せよ」という問題があります。
上記を少し応用すれば証明できるのですが、お分かりになりますでしょうか。