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直感数学その18:よく覚えられない加法定理(三角関数)

数学
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加法定理を忘れるという話

三角関数には様々な定理があって、覚えきれない方も多いと思います。

別記の通り、

A,B,Cに向かい合っている辺の長さをそれぞれa,b,cとしました。

別記事の通り、\(a^2=b^2+c^2-2bc\cosA\)でした。

これは、垂線を下ろして、2つの直角三角形に分割し、

ピタゴラスの定理を使う方法でした。

さて、これを単位円の上に乗せてみます(長さはかわるので、正確には、サイズを変えて乗せているのですが)。

A(0,0)として、B(cosΘ,sinΘ )、C(cosφ, sinφ)とできます。

さて、\(a^2=b^2+c^2-2bc\cosA\)

を、これらの座標から計算すると、ピタゴラスの定理などから、

\((cosΘ-cosφ)^2+(sinΘ-sinφ)^2

=(cos^2φ+sin^2φ)+(cos^2Θ+sin^2Θ)-2bc\cosA\)

となります。真面目に書けばこうなります。

しかし、単位円であることなどから、結局b=c=1なので、

\(-2cosΘcosφ-2sinΘsinφ=-2bc\cosA=-2*1*1*cosA\)

となります。

そして、cosAをよくみると、A=φ-Θになっていることにお気づきかと思います。

結局、\(\cos(φ-Θ)=\cosφ\cosΘ+\sinφ\sinΘ\)となります。

これが単位円の威力です。

ちなみに、これは、明らかに、あらゆる角度φとΘについて成り立ちます。どの点をとっても、(重ならないかぎり)三角形ができることは確かめればすぐにわかります。

ということで、Θに-Θを代入してみても、問題ないことになります。

\(\cos(φ-(-Θ))=\cosφ\cos(-Θ)+\sinφ\sin(-Θ)\)

ですから、ここで、cos(-Θ)=cosΘおよびsin(-Θ)=-sinΘから、

\(\cos(φ+Θ))=\cosφ\cosΘ-\sinφ\sinΘ\)が得られます。

 

ちなみに、角度のマイナス?と思われるかもしれませんが、

角度のマイナス版を、時計回り方向だと定義して良いことにしましょう。

こういうイメージです。

なお、sinについての証明ですが、下記のように考えると

どつぼにはまります。

\(\cos^2(φ-Θ)=\cos^2φ\cos^2Θ-\sin^2φ\sin^2Θ-2\cosφ\cosΘ\sinφ\sinΘ\)

ですから、

\(1-\sin^2(φ-Θ)=\cos^2φ\cos^2Θ-\sin^2φ\sin^2Θ-2\cosφ\cosΘ\sinφ\sinΘ\)

となって…などと考えると非常にややこしいことになります。

 

ここで威力を発揮する考え方が、

cosΘ=sin(Θ+90度)かつ、sinΘ=-cos(Θ+90度)

です。これは単位円を想像すれば、気づくはずです。

直角三角形が寝ころんだ形になります。

\(\cos(φ-Θ)=\cosφ\cosΘ+\sinφ\sinΘ\)

のΘをΘ+90度におきかえると、

\(\cos(φ-(Θ+90度))=\cosφ\cos(Θ+90度)-\sinφ\sin(Θ+90度)=-\cosφ\sinΘ-\sinφ\cosΘ\)であり、

\(\cos((φ-Θ)+90度)=-\sin(φ-Θ)=-\cosφ\sinΘ-\sinφ\cosΘ\)となり、

まとめると、\(\sin(φ-Θ)=\sinφ\cosΘ+\cosφ\sinΘ\)となります。

このΘに-Θを入れても問題ありませんので同じく、

\(\sin(φ+Θ)=\sinφ\cosΘ-\cosφ\sinΘ\)が導かれます。