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直感数学その1:消えた「×」の話

数学
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直感数学という造語(本HPにおけるコンセプト)

直感数学とは、本HPにおける造語ではありますが、

当然、同じ考えや、同一の造語を提唱される優れた数学者・教師なども、

おそらくたくさんおられるかと思います。

特に、こちらの記事で紹介されているように、右脳数学の考えや、「算数がわからないからといって高等数学がわからないということはない」という考えは、

非常に素晴らしい考えかと思われます。

いわゆる商標登録のようなものがありません(商品ではない)ので、

本HP独自に「直感数学」という造語を使わせて頂こう(ただ、結果的に似た理論に落ち着くかもしれません)と考えています。

本HPにおける直感数学は、「数学は直感から離れていくとわからなくなる」

をモットーに展開していく数学理解プログラム(という名の雑記)です。

ただ、わからないような抽象的な世界にこそ魅力がある、という側面もあります

ので、直感的にはわからない数学もまた、美しいともいえます。

とはいえ、直感数学では、「我々はどこまで数学を直感的に理解できるのか」を

できるだけ広げていく努力をしていこうと考えています。

直感数学その1:消えた「×」の話

数学的には2*3=3*2=6だが、直感的には2*3と3*2は別物という話

3人が、それぞれりんご2個を持ち寄ると、りんごは3*2=6個になります。

掛け算の表記は、×でも良いですし、パソコン的には*(アスタリスクという記号)が打ちやすいので、ここはどちらでも良いのですが、

まず、この3*2=6個の時点で、少し直感から外れています。

ここで違和感を覚える人が当時どれだけいたかはわかりませんが、

3人が、それぞれりんご2個を持ち寄るわけですから、

本来、「2個のリンゴ「が」3人分集まって6個になる」のが直感的な正解です。

従って、2*3=6が最も直感的な正解となります。

強引に3*2=6を直感的な正解にしようとするなら、解釈は、

「まず3人集まってもらいます。同時に1個ずつりんごをおいていきましょう。

1回目:りんごが3つ集まりました。2回目:りんごがさらに3つ集まりました。ですので、「りんごが3つ集まる」という現象が2回おきましたので、3*2=6個です」

などとなるでしょう。別解もいろいろあると思いますが、やはり2*3の方が

しっくりくる方が多いのではないでしょうか。

消えた「×」の話

りんごの数をa個とします。

ここまでは、直感的に理解できるはずです。

3人がそれぞれリンゴをa個もちよったら、りんごの数は、6個になったとしましょう。6個というのは、3人がそれぞれリンゴをa個もちよったわけですから、

「3a個」でもあります。などと説明したとしましょう。

実は、このあたりで怪しくなってきます。

本来、3は数でaは文字ですから、

3aというのは直感的には全く未知の「何か」です。

このような単純な「直感からのズレ」が積もり積もって、数学からの

脱落者が続出するのでは、と考えています。

これをできるだけ直感に近づけるなら、慣れ親しんだ×(パソコンで打ちやすい*を使わせて頂きますが)を使って、

2*3=6個になるべく近づけて、

a*3=6個とするべきだと思います。

3aだと*も消えていますし、なにより順序が逆です。

かといって、文字のルール上「a3」とは表記できません。

ですので、「りんごの数は3a」と直接教えるよりは、

a*3=6個となっているのを、まずは直感的に理解してもらいます。

そうすると、aが1人がもつりんごの個数だとすんなり入ってきます。

そのうえで、文字の表記は、aが3個あるときは、a3ではなく3a

と表記するルールがあることを「暗記」してもらいます。

これは、人によって、すぐに「直感」におきかわる人と、

いつまで経っても「暗記」の域を出ない人がおられるかもしれません。

しかし、いきなり3aと教えるよりは、

どこまでが「直感」でどこからが「ルールの暗記」なのかが

明確になって、理解力が高まると考えるわけです。