ベクトル?
始点Aから終点Bまでの長さは、今まで通り、長さで
何の問題もないかと思います。
ところが、それにAからBなのか、BからAなのかという概念は
ありません。
そこで、向きという概念を加えたのが、ベクトルです。
先ほどの、単なる長さのことをスカラーと呼んでいます。
紙(平面)の上でベクトルを考えると、平面(2次元)ベクトル、
3次元(空間)の上でベクトルを考えると、空間(3次元)ベクトルになります。
数学者というのは面白いことを考えるもので、
4次元、5次元、6次元…などという世界があると定義してしまえば、4次元ベクトル、5次元ベクトルなども定義することができます(実際に、有用な使われ方が山ほどあります)。
ちなみに、4次元、5次元という世界が意味不明だと思えるのは、
私たちが、無意識に、縦、横、高さ、+???という感覚で「次元」を考えようとしてしまうからでしょう。
別に、この次元とは、縦、横、高さとか、直交する、とかいう話ではなく、
「お互いに影響しない、独立した方向がいくつあるか」でしかありません。
たまたま、2,3次元は、私たちの住む世界に例えることができるので、わかりやすいよう、平面ベクトルとか空間ベクトルと呼ばれているだけです。
ベクトルの長さが、ベクトルの座標を(a,b)としたときに、
\(\sqrt{a^2+b^2}\)で表現できるのは、ピタゴラスの定理によります。
まあ、確かに、4次元でもピタゴラスの定理が成り立つのかどうか、を議論すると、よくわからなくなってくるわけですが、
とりあえず、こういった計算でベクトルの長さが算出できます。
ベクトルの和?
ベクトルどうしの和を考えるのは非常に興味深く、
たとえば、福岡→大阪というベクトルと、
大阪→東京というベクトルがあれば、
これらの和は、福岡→東京となるわけです。
これは何となくわかるのですが、
福岡→北京というベクトルと、
北京→東京というベクトルの和も、実は、
福岡→東京となるわけです。
ですので、ベクトルの和というのは、途中でどこに立ち寄ったか、
ではなく、始点と終点がどこか、のみで定まります。
ゆえに、それぞれのベクトルの長さ(スカラー)の和は、
ベクトルそのものの和とは、もちろん一致しないことになります。
このように、日本地図で想像すると、ベクトルの和の違和感が
きれいに消えるのではないかと思います。