数直線?
数なのか直線なのかよくわからない数直線ですが、
数字を直線状に並べたら、まるで直線になったということはわかると思います。
さて、だからどうしたのか、という直感的な疑問がわいてくると思われます。
ここで、何も感じない人がほとんど。
しかし、ときどき、こう考える人が出てきます。
?の部分は何なのか?と考えます。
直線の上に数字が並んでいるところまではわかりますが、
?の部分が何かという問いは、一見意味不明です。
ところが、こうすると、一気に話が変わってきます。
横軸が英語の点数とします。
そうすると、縦軸を数学とすれば、
?の位置が何を表すのか、直感的にわかります。
つまり、数学が90点、英語が30点ということを表します。
もう一度数直線に戻りますが、横軸の英語と数学はもちろん
別々の指標でした。
数直線は、横軸には数字がくるわけですが、数字ではない別の指標が縦軸にくれば、
?が何であるか説明できることになります。
だからといって、あなたの体重を縦軸にしても、何が何やらわかりません。
数字のようなものだが、数字ではないものを考えます。
数字のようなものだが、数字として存在していないはずのものを考えます。
ここで、二回掛け算して-1になる数を考えてみます。
この発想がすでに意味不明なのですが、
当然、そのような数はありません。
正確には、「ないような気」がします。
結論から言えば、そのような数があるルールにしてしまえば、
そのような数があることにできます。
その代わり、いわゆる足し算、引き算、掛け算、割り算のルールは、
いったん無しにして、そのようなよくわからない数についてのルールを、
一から決めなければなりませんし、
また、逆に言えば、一から決めてしまうのであれば、
別に自由に使っても良いわけです。
この意味不明な数を、想像上のideal数numberとして、頭文字iで表すことにしましょう。別にここまでは自由です。
「そのような数が無い」というのは、あくまで通常の数字のルールです。
まず、iという意味不明な数を、\(i^2=-1\)を満たすモノとして定義します。
これは、良いのです。
さて、勝手に作った数字に、いままでの数字の考え方をミックスします。
いささかズルい感じもありますが、そのように定義すれば良いのです。
例えば、2iとかいう意味不明な数を、\(2i^2=2^2*i^2=4*-1=-4\)を満たすモノとして定義しても良いわけです。
さらに、2i+3i=5iというように、足し算を定義しても構いません。
なぜ構わないかといいますと、2iも3iも、もともと意味不明な数なわけですから、
意味不明な数どうしを足し算した結果、意味不明な数になっても別に構わないわけです。今までの通常の数字のルールが崩れるわけではありません。
ということで、引き算、割り算、べき乗なども同じく定義できます。
さて、問題は、今までの通常の数字との関係です。
唯一、\(i^2=-1\)は良しとします。なぜなら、このルールが存在したところで、
-1という数字のルールは特に崩れないからです。
では、5+2i=???としたとき、どうなるでしょうか。
結論は、たとえば、これを7とか3とかにしてしまうと、
これは、通常の数字のルールが崩れてしまうので、そこは阻止します。
ですので、5+2i=5+2iにしか、ならないルールにしましょう。
これで、意味不明な数iと、通常の数字の混在が一応許されました。
とはいえ、iと通常の数字は全く別物なので、iを縦軸にしても良さそうです。
ということで、?の意味不明な部分は、1+2iということになりました。
もちろん、i以外の意味不明な数が存在して、それを縦軸にする案もあります。
というより、実際にそういう考えが存在して、
\(i^2=j^2=k^2=ijk=-1\)というやはり意味の分からない定義をして、
この3つ組と通常の数字をあわせて「四元数」と名付けた天才がいます。
結論からいえば、意味不明な数ですが、物理学など多くの分野で
非常に有効活用されています。
数直線を習うのは、このiとかいう良く分からない数を知るための
伏線だったのかもしれません。