有理整数と代数的整数
我々のよく知る整数は、厳密には有理整数といいます。本HPでは、単に整数と略してよいこととします。
代数的整数というのは、「整った数ではあるが有理整数ではない」と解釈して頂ければと思います。
素数
2以上の有理整数pについて、「p | abであれば必ずp|aまたはp|bである」場合、pを素数とよぶことにしましょう。
代数的整数pについて、「p | abであれば必ずp|aまたはp|bである」場合でも、pが素数にならないケースがある
(1+√-5)*(1-√-5)=6ですが(虚数は、2乗して-1になる数のことです。そのような整数、有理数、実数はもちろん存在しませんが、存在するものとして定義してしまえば良いのです。)、
6=2*3となっています。ということは、代数的整数の世界では、6は2*3以外にも分解できてしまうのです。
有理整数においては、イデアル(2,3)=(2)+(3)などは、(6)として、単項イデアルになっていましたが、代数的整数においては、イデアル(2, 1+√-5)は、単項イデアルにはならないわけです。
ところが、虚数を含む代数的整数においても、加法群、乗法においては結合律、単位元、分配法則が成立しますので、これは、「可換環」にはなっています。
素因数分解
あらゆる整数は、±1と素数の積に分解され、必ず一通りに定まります(もちろん有理整数の話です)。
このような分解を素因数分解とよびましょう。
実は、別記した、2元a,bの積が、a,bの最大公約数と最小公倍数の積になるというのも、素因数分解を用いて証明することができます。