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語源解説:エステとエスセとanaesthetic(麻酔)

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英語の語源解説コーナー。

エステの語源が気になっている方も多いことだろう。

本来は、エステではなく、エスセである。

aestheticはエスセティックと読むが、日本人にはエステティックの方が馴染みが良かったようである。

早速脱線だが、アエスセティックではない。そもそも「ae」の読み方において、aとeを独立して読むことは無い。所説あるようだが、そもそも現代英語においてaeという綴りの頻度が低いため解決策を用意するまでもないということもあれば、また、古英語においては、ash(アッシュ)と呼ばれるǽというaとeのくっついた文字として存在していたこともあり、発音記号としてもǽが残っているためであろうと思われる。

とにかく、aeは「アエ」ではないことだけは確かである。日本人の感覚として、aを読まない、と解釈したほうが馴染みが良いが、実のところはǽとして読むという感覚が正確かもしれない。

さて、関連語として、(アネセティック)anaesthetic(麻酔)という単語がある(これはaを一つとってanestheticでも通じるが、そうするとかえって訳が分からなくなるのでanaestheticを解説する)。

そもそも、aとかeが多くて意味不明な単語だと思った方も多いだろう。

意外と情報が少なかったのだが、stheticというのが、「物」であるようだ。

例えば、pro(前の)sthetic(物)=prosthetic(補綴)という医学的な用語があるが、

これは、前にあった物を(人工的に)作って補うという意味になる。義肢などがそうである。

stheticという単語そのものは、1900年代前半の書物などにはときおり見かけるため、単語として存在しているようだが、現在はほとんど見かけない。

あくまで推測であるが、thing(もの)やsubstance(物質)などといった、stheticにとってかわる単語が発達しており十分充足していたため、aesthetic(美意識)やprosthetic(補綴)の中にあるsthetic以外は、単独での必要性が消えていったからだと推測できる。実際、etymologyの海外のサイトを紐解いてみても、sthetic単独についての記載はほとんど見かけないため、明確な理由は分かっていないのかもしれない。

さて、eというのは外に、という接頭辞であるため、e+sthetic=物が外に、のセンスである。これは、物が外に対してオーラを放っているセンスである。転じて、美しいの意味を帯びてくる。

このままでは、美しいだけである。美意識とは違う。美意識は、あくまで「誰か」が感じなければならない。

さて、aというのは、~のほうに、否定、などの意味が代表的な接頭辞である。

しかし、ここでいうaはau~、すなわち「感じる」を意味する(uがとれている)。

接頭辞に知識がある者にとっては、あまりなじみのない使い方かもしれない。

しかし事実、このau~は印欧祖語において、知覚を意味するものであった。

ちなみに、類似したaudも知覚の意味がある。

例えばaudioは(これも情報が少ないが)そもそもラテン語のaudireに由来するが、

audは、聴覚、音声といった意味で、ireは行くという意味である。

audireは、音声が行くというセンスで、すなわち音楽。auが知覚であるという感覚はご納得いただけたかと思う。

さて、a(u)+e+sthetic=a(u)estheticをuを縮めてaestheticとすると、美しさを感じる、すなわち美意識だとか、審美眼だという訳に合致する。

ここのaが完全に省略されずに残っているのは、auからきていて、独立した意味をもっているからである(aが省略されたestheticも一般的であるが、省略されていないaestheticも生き残っている)。aeがaとならないのも、eが単独で「外の」という独立した意味をもっているからである。

最後に、aは他にも否定の意味を持つ接頭辞である。ようやくここで「そのa」を使っていこう。母音の前の否定のaはanとなるため、

an(a)+a(au)+e+sthetic=否定+感じる+外の+物質=「外の物質を感じられるようなものが否定される」というセンス。転じて、知覚がない、すなわち「麻酔」の意を成す。

おそらく、stheticもさらに分解できるのだろうが、sthetic自体の使用頻度が低いこともあり、いったんここで筆をおくこととする。

じっくり分解すれば理解できるのだが、ここまで細かいことをつつく論者は結構少ないようである。