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位相空間

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非常に単純明快なところからはじめてみると、我々の住む世界は、3次元である。そして、この3次元空間は、おそらく、あるところからあるところまで、1kmだとか、高さ500mだとかいった空間である。

あえて名前を付けるなら、どのような名前をつけるだろうか。

「距離空間」というのが正しいかもしれない。

さて、たとえば、テーブルの上に珈琲とビールと茶碗があったとして、左手前の隅から右に10cm奥に15cmの位置に珈琲があって…などと指定していけば、それらの位置は当然ただ一つに定まる。

ここで、距離という考えを使わず、これらの位置をなるべく正確に伝えることを考えてみる。

たとえば、テーブル左手前に最も近いのが珈琲で、最も遠いのが茶碗である。そして、テーブル中央に最も近いのがビールである。などという情報を得られたらどうだろうか。情報が増えれば、だんだんと、距離空間で得られた正確な位置に近づいていくだろう。

また、近づきはするだろうが、ときには、「だいたいの位置」しか説明できないことにも気づくだろう。

このような、距離以外の情報を、距離の情報の含めて、「位相」とよんでいて(物理学でいうところの波動における位相とは異なる)、この位相を用いることができる空間を位相空間と呼んでいる。距離を用いることができる空間を距離空間とよんでいるから、当然、距離空間は位相空間の一種である。ところが、位相空間の中には、距離空間とならない空間(すなわち、距離という概念が使えない空間)もある。

当然、我々は距離空間に住んでいるし、位相空間に住んでいることにもなる。

この時点で、なぜ位相空間など面倒な考え方が必要なのか?と疑問に持つ方もおられるだろう。

では、例えば、しぼんだ風船に100個のマークを書いて、風船を膨らませた時の、それぞれの位置関係を正確に予想したいとしよう。このとき、しぼんだ状態のマーク同士の距離は、ふくらんだ時にはほとんど無意味なものになっている。それに対し、マーク同士の位置関係は、ふくらんでも、不変である。ふくらみ方によって、多少マークがずれる気もするが、しかし、「マークAよりもマークBがマークCに近い」といった「位相」の情報は、不変なのである。

つまり、風船がしぼんでいようが、ふくらんでいようが、「風船表面の位相空間」は不変なのである(表面だから空間ではないという指摘もあるかもしれないが、この場合、「球面」(完全な球でなくてもよい)なので、空間として定義される)。

距離空間は、我々の生活している空間としては何の問題も無いが、とてつもなく巨大な風船の上に国を作ろうとしたら(メルヘンチックな想像であるが)、距離空間で測定してしまうと、風船がしぼんだりふくらんだりするたびに、測定をやりなおすはめになるのである。